Last Updated on 2024年3月26日
今日も『自由の女神』に集合な!
これが僕達が小学生時代の合言葉だった。
当時は知らなかったのである。
「純粋」で「無知」な行動は後に自分が親になったときにとんでもないことであると気づくことが有る。
あれはまずいやろ…と。
僕の住んでいる町には「自由の女神」が存在した。
別に僕がニューヨーカーとかそういう話ではない。
どっちかっていうともっとスラムな感じである。
ダンクの方ではない、街のほうである。
大人になった僕は、もう故郷へは高速で1時間くらいかかる位置に住んでいる。
しかし、美容院を変えるのがめんどくさいという理由で未だに故郷までドライブがてら車を走らせ髪をカットしてもらう。
そして、少年の頃によく通っていたラーメン屋で食べてから帰路につく。
これが僕のジャスティスだった。
本日も、同じ経路で2,3ヶ月に一回の髪を切る→ラーメン→やったぜ!のルーチンをこなそうと考えたのである。
気づいてしまった。
何故今まで気づかなかったのか。
もしかしたらこの街を出てからの15年…いや、もっと前から気づいていたが目を反らしていたのかもしれない。
そう、このルーチンは完成されたシモネタなのである。
「今日も自由の女神に集合な!」と言ってたあの場所は実は「ラブホテル」である。
まあ予想はつくだろう。つくかな?
僕たちはラブホテルに集合してから遊び呆けていたのだ。
当時の僕らはまさか出たり入ったりしてる場所なんて思いもしなかったのである。
なんで自由の女神がこんなとこにあるんだ?
ここはアメリカと何か関係有るのかなぁ?
そんな純粋なことを僕らは思ってた。阿呆である。なんてアホなガキどもだ。
あそこはセックスしてる場所なんだよ!
今思えばラブホ以外の何物でもないのだ。
だが、あまりにもあの「ホテルニューヨーク」は待ち合わせ場所にぴったしだった。
渋谷で待ち合わせたらハチ公で待ち合わせするだろう。
仙台ならステンドグラスだ。
じゃあ鶴見なら?
当然!自由の女神だ!!明らかに住宅街なのに突然現れるデカい自由の女神像!それが流儀ィィ!!
どのくらい自由の女神なんだよと疑問に思われると思うのだが、写真を撮ってくるの忘れたのでグーグル・アースの画像をご覧頂こう。
!?
ちょっと上すぎるかな…。
もうめんどくせーから詳細から拝借してみた。
こんな自由の女神いたらそりゃあ待ち合わせ場所にするよ。
というかこのラブホ、僕が小学生の頃から存在する。
つまり少なくとも30年前くらいからある。
なんかさっき改めて見たら、ボロボロじゃねえか!
こんなところやってるのかよ?ヤル気にならねえぜ!
そう思ってさっきググったら、中はめちゃくちゃラブホだった。
しかも値段はご休憩で1万くらい。
高くね?強気すぎるぜ…さすがニューヨーク…!
だが、こんなラブホで完成されたシモネタなんてちゃんちゃらおかしいでしょう。
こんなことではない。
こんなことは前から気づいていた。
中学3年くらいで気づいた。
違うのだ。
ここにたどり着いて、そしてその先へ…。
過程から結果まで全てがシモネタな理由を説明しよう。
小学生の僕らはここにたどり着くまで「ある通り」を通ってここに集合していた。
その通りの名前は…
ゴム通り
そして、ぼくらはなけなしのお小遣いでラーメンを食べに行った。
そのラーメン屋の名前は…
珍珍珍
本日私が車でおこなったのは、ゴム通りを通って、自由の女神(ラブホ)を見かけて、珍珍珍で食った。
全く同じことを車ではなく自転車で行っていたのが僕の小学生時代である。
ゴム、ラブホ、ちんちん…。
これは…狙っているのか?
確かに小学生の頃はこんな会話をした。
ちんちんちん(でラーメン)イこうぜ!自由の女神(があるラブホ)集合な!
ゴム(通り通ると道長いから)でイクと疲れるんだよなぁ…
なんだこのド変態な会話は!汚らわしい!
当時全員童貞…どう少なく見積もっても魔少年ディーティーだった僕らは無垢にもこんな会話をしていたのだ!
むしろ小学生時代だから女の子とかも混じってた。
大変なことやと思うよこれは…。まずいですよ。
ちなみに珍珍珍は「ちんちんちん」ではない。
読み方は「さんちん」である。
僕らは何故かこれが共通認識だった。実際さっきググったらほんとうにさんちんだった。
ネットもない時代になんでこんなに謎の情報を知っていたのか…。
ポケモンのケツバンの裏技とか、マリオブラザーズ3の笛とか誰が持ってくるんだろう。
そっちのほうがこんなしょーもないシモネタより謎なのは間違いない。
しかし、親になった今思うのである。
僕は親にこんなことを聞いたことを悔いている。
「なんで鶴見に自由の女神あんの?」
そして母はこう答えた。
「あそこだけニューヨークなのよ。アメリカの領土よ」
正直、さすがの僕も「そうなんだ」とはならずに「何いってんだババア、イカれたか」と口に出しそうになってしまった。
まあ、子供ながらに何かとてつもない謎があるものだと思ったものである。
だが、今なら母の気持ちがわかる。
もし息子に「なんで鶴見に自由の女神あんの?」と聞かれたら「あそこはアメリカの領土だ」と俺も答えるだろう。
完